我慢とは

 日本人の国民性として、我慢するとか耐えるというのが道徳的にも立派な心のありようとされて来たのではないかと思います。

 

忍耐力とか粘り強さ、また根気や耐久力など、困難があっても目標に向けて継続的に努力出来る素晴らしい能力だと思います。

 

只、単に我慢するというのは、不快な状況や状態を耐えることを指します。 これは本当に正しい事なのでしょうか?

 

最近感じることとして、生きづらさを抱えている人の中に、我慢することが潜在的な癖として生きづらさの原因になっていることを感じることがあります。

 

人は大なり小なり、子供の頃から親に好き嫌いをしないで全部食べなさいとか、お兄ちゃんお姉ちゃんなんだから我慢しなさいとか言われてきた経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

 

 それは確かに必要があって、親なり先生から言われてきたこととして間違いでは無いのかもしれません。

そして、そのお陰で耐える力がついたことは成長するためにも必要なことだと思います。

 

もし大人になった今、生きづらいと感じている人は自分が言いたいことも我慢してしまっていたと、自分さえ我慢すれば物事が円滑に進むと、我慢すること耐えることが癖になっているのではないでしょうか?

 

仕事やコミュニティで厄介な人に振り回されトラブルが起きたとしても、知らず知らずのうちに自分が何とかしなければとか、それくらい我慢しないといけないと無意識のうちに思ったりしていないでしょうか?

何故、我慢してしまうのでしょうか?

 カウンセリングにおいても、根本の原因を探っていくとぶつかるのが、幼少期の親との関係だったりします。

 

家庭でのあなたのポジションが、長男長女だったり、二男次女、また末っ子だったりしたとき、親からどんなことをよく言われていましたか?  目上の人からどんなことをよく言われていましたか?

 

口癖のように言われ続けてきて、大人になったあなたが当たり前に、今その考え方に何の疑問も持たず、自分の習慣としていませんか?

 

その考え方自体があなたの癖になっていませんか?

 

もしかしたら、それがあなたを苦しめ、生きづらく感じているとしたら直ぐにでもその考え方を修正する必要があるかもしれません。

 

小さかった子供の頃は親に守られながら、当たり前のようにそれを信じ実行し、育てて貰って来ました。

 

小さい子供は大人に守ってもらわないと、育てて貰わないと生きていくことはできません。

 

 その中でいろんなことを教わり学び、成人へと成長してきました。

 

そして今、親や目上の人から当たり前のように言われ続け、当たり前のように頑張ってやってきたことが、もしあなたを生きづらく心身にも良くない影響を与えているとすれば、

 

ただひたすら自分に我慢を課してしまっているのではないですか?

では、どうすればいいの?

 

 ついつい我慢してしまって、心身がシンドクなったり生きづらく感じてしまった時は、

何が自分にブレーキをかけているのかを考えてください。

 

これは自分の性格だから仕方ないと思っていますか? 本当にそうですか? 誰かの言葉に縛られてそう思いこまされているのではないですか?

 

それは心身を壊してまで守ることですか? 大人になったあなたはそれをやめても良いんです。 

 

あなたは誰かの所有物ではありません。 

ロボットでもないんです。 自分で決めて良いんです。 自分で決断してください。

 

先ずは自分の気持ちに正直になってください。 肩の力を抜いてください。 そして人を大切に思うように自分をもっともっと大切にしてあげてください。 

 

人が無気力になったり、遣り甲斐を失ったりするのは感情があるからです。 気持の問題です。

 

感情があるから人なんです。 あなたはロボットではありません。

 

気持を感じないようにしたり、無理に押し殺したりすることは良くありません。

 

無理に閉じ込めて気持ちに蓋をしてしまうと、いつか抑えきれなくなって心身に影響が出てきてしまいます。 

 

その苦しみや痛みは、あなたにそのことを気づいて欲しいから出てくるのです。

 

また閉じ込めてしまう癖にすると、ついには感情を感じなくなってしまい人格に歪みがてきたりします。

 

喜怒哀楽は社会的に正しく表現することがとても重要です。

 

あなたのその我慢に出口はあるのでしょうか?  

あなたのその我慢に輝かしいゴールはあるのでしょうか?  

あなたのその我慢に明るい未来はあるのでしょうか?

あなたのその我慢に幸せになる道はあるのでしょうか?   

 

今一度、その我慢することに意味はあるのか考えてみてください。

アウトプットしてみる

  気持を落ち着かせたり頭を整理するときに効果がある方法として、一旦そのことを書き出して見ることをお勧めします。

 

何を我慢しているのか、一つ一つ書きだしてみます。

 

例えば、会社員のAさんは忙しくて目が廻るようなときに、上司から急ぎの仕事を頼まれました。

Aさんは上司からの指示を断ると評価に影響するかもしれない、今後自分に仕事を廻してくれなくなるかもしれない、上司からの指示は絶対なんだと断ることは出来ないとの認知をもっていると、どんな理不尽な要求をされてもそれに何が何でも応えようとします。

 

この一連の行動を書き出してみます。

 

そして何度も読み返してみます。 本当に断ることは出来なかったのか?  その仕事を断ったら本当に評価に影響するのか?  その仕事を断ったら他の仕事を廻してくれなくなるのか? 上司の指示は絶対に優先しないといけないのか?

 

今抱えている急ぎの仕事があることを説明して、それを片付けたらその仕事に掛かれますと言ったらどうなるのか? 今回は別の方にお願いしますと言ったらどうなるのか?

 

我慢してその仕事を引き受けることが正しいとは限りません。  

時間的にも気持的にも余裕がない時に限ってミスを犯すリスクも高くなります。

 

最初の思い込みは、自分の性格からきているものなのでしょうか?  

それはもしかしたら誰かに植え付けられてたものかもしれません。

 

一つ一つ書き出して眺めてみたら、間違った認識・歪んだ認知をしていたということに気づいてきます。

 

その間違った認識・歪んだ認知は誰のせいでもありません。 

気づいた今がそれを修正するときなのです。

 

単なる我慢にはあまり意味がありません。

 

これから自分が幸せになるのに必要な我慢に変えて

「忍耐の花が咲く」忍耐が実を結び、美しい結果が得られることがイメージできたり、

「我慢の先に光あり」忍耐を通じて明るい未来が待っていることがイメージできる時にこその我慢が本当に必要なスキルなのではないかと思います。

 

もっと自己を理解し、もっと自分自身を大切に‼️